Research Note 001 — NIXUMA調査ノート
銀座でAIに聞いてみた。
条件をひとつ変えると、おすすめは変わりました。
2026年11月1日、私たちはOpenAI(ChatGPT)・Google Gemini・PerplexityのAPIを使い、銀座の飲食店のおすすめを繰り返したずねました。あらかじめ選んだ5店——店名は質問に入れていません——が、回答に何回登場するかを数えた実験です。結果を先に書きます。追跡した5店のうちの1店は、「ベジタリアン向け」の質問では30回中12回登場したのに、「銀座でディナー」という一般的な質問では29回中1回しか登場しませんでした。同じお店でも、聞き方ひとつで、出たり出なかったりします。
実施日:2026年11月1日/公開:2026年11月2日/場所:銀座(東京)/この記事では、追跡したお店の名前は伏せています。
Design
実験の設計
お客様が店を探すときの聞き方を、3つの場面に分けました。「銀座でディナー」「記念日のディナー」「肉と魚を食べない人のディナー」です。各場面を英語と日本語で書き、3つのAIにそれぞれ5回ずつたずねました。予定した測定は90回、得られた回答は89回、そのうち85回が最後まで完了した回答でした(1回は失敗、4回は途中で切れた回答です)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施日・場所 | 2026年11月1日/銀座、東京 |
| 対象のAI | OpenAI(ChatGPT)、Google Gemini、Perplexity——いずれもAPI経由 |
| 場面 | ディナー/記念日/ベジタリアン(肉と魚を食べない人)の3つ |
| 言語 | 英語と日本語 |
| 繰り返し | 場面×言語×AIごとに5回(予定90回、回答89回) |
| 追跡対象 | あらかじめ選んだ銀座の飲食店5店。質問文には店名を入れていません |
| 数えたもの | 5店が回答のおすすめに登場した回数。どの店が「一番良いか」は評価していません |
Result 01
場面が変われば、結果は変わる
追跡した5店のうちの1店について、場面ごとの登場回数はこうなりました。
| お客様の聞き方 | 登場回数 | 回答に占める割合 |
|---|---|---|
| 銀座でディナー | 29回中1回 | 3.4% |
| 記念日のディナー | 30回中3回 | 10.0% |
| ベジタリアン向けのディナー | 30回中12回 | 40.0% |
このお店は、ベジタリアン向けの回答の4割に登場しました。回答の中には、そのお店のベジタリアン/ヴィーガン対応に触れて薦めているものがありました。ただし、なぜこの結果になったのか——お店の公式サイト、第三者の記事、AIがもともと持っている知識、検索結果のどれが効いたのか——は、この実験では切り分けられていません。実験のあいだ、お店の情報は一切変更していないので、特定の情報源を原因と決めることはできません。
言えるのはここまでです。「おすすめの店は?」という一般的な質問を1つ聞いただけでは、そのお店がAIに出ているかどうかは分からない。お客様の場面ごとに測らないと、実態は見えません。
Result 02
言語が変われば、結果は変わる
同じ1店の登場回数は、3つのAIを通算すると、日本語の回答では45回中10回、英語の回答では44回中6回でした。
ただし、差はいつも同じ向きとは限りません。Geminiのベジタリアン向け回答では、このお店は日本語で5回中5回、英語では5回中1回の登場でした。他のAIでは差はもっと小さく、全体を通して「日本語のほうが常に出やすい」とは言えませんでした。5回ずつの測定では、どちらの言語が有利かを結論づけるには足りません。
それでも、実務上の結論ははっきりしています。言語ごとに分けて測ること。英語の結果を、日本語のお客様が見ている答えの代わりとして扱わないこと。地元のお客様と訪日観光客は、別々に測らなければ見落とします。
Result 03
数える側にも、誤りが出ます
私たちの最初の自動集計は、実際のおすすめを8件取りこぼしていました。AIの回答の中にはあったのに、集計の仕組みが数えられなかったのです。あるお店の掲載順位も、1件誤って記録していました。
集めたデータを別途監査して、この誤りを見つけ、記事にする前に訂正しました。訂正後、ある1店の登場回数は10回から16回に増えました。最初の数字のままでは、そのお店の存在感を実際より小さく見せ、言語やAIのあいだの比較も歪めていたところです。
取りこぼしの理由は、お店の名前の書かれ方の多さです。漢字、ローマ字、説明を付けた書き方。番号つきの見出し、箇条書き、決まった形式でない書き方。そして、名前が出ていても、それがおすすめとは限らない場合——注意書きや比較の中で名前だけ出ることもあります。自動で数えるだけでは足りません。人の目での確認が、測定の一部です。
Caution
おすすめに出ることと、正しく紹介されることは、別の話です
この実験では、お店についての説明が正しいかどうかは検証していません。AIは、ベジタリアン向けにおすすめしながら、メニューの内容を間違えることがあります。変わってしまった予約方法を案内したり、名前の似た別のお店と混同したりすることもあり得ます。
もうひとつ。AIごとに、検索の痕跡として残る情報の量が違いました。検索したことが確認できる回答もあれば、記録からは検索の有無を判断できない回答もありました。そして、回答のそばに情報源が表示されていても、その情報源が回答のすべての内容を裏づけているとは限りません。「出ているか」を数える仕事と、「正しく紹介されているか」を確かめる仕事は、分けなければいけません。
For Owners
お店にとっての意味
お客様の聞き方はひとつではありません。記念日、接待、食事の制限、オンライン予約ができるかどうか。聞き方が変われば、AIが組み立てる答えも変わります。
だから、測り方もそれに合わせます。場面ごと、言語ごとに、繰り返し聞く。一般的な質問への1回の回答で「出ている/出ていない」を判断しない。私たちが飲食店向けの診断で29の質問を使い、複数のAIに繰り返したずねるのは、この実験で見たばらつきが理由です。
お店側の土台は、場面ごとの情報を正確に書いておくことです。ベジタリアン対応の有無、記念日に使えるかどうか、予約の方法、営業時間と定休日。AIが参照する公開情報にそれが正確に書かれていれば、少なくとも「材料」は揃います。なお、情報を直したら登場が増えるのか、登場が増えたら予約が増えるのかは、この実験では検証していません。どちらも、別の実験が要ります。
Limits
この調査の限界と、次にやること
この調査は1日だけ、対象は5店、AIは3つ、しかもアプリではなくAPIで測りました。アプリの挙動とは違う場合があります。結果は探索的なもので、銀座の飲食店の順位を示すものではありません。
次に調べたいのは2つです。ひとつは、AIがお店について述べる情報——営業時間、価格、予約方法——が正しいかどうか。もうひとつは、お店の確認済み情報を直したとき、おすすめへの登場が時間とともに変わるかどうか。あわせて、日本語と英語が混ざる回答から店名を数える仕組みも改善します。
あなたのお店は、場面ごとに測れていますか?
NIXUMAのAI表示診断では、お客様が実際に使いそうな質問文で複数のAIに繰り返したずね、あなたのお店が名前で登場したか、代わりにどのお店が登場したか、事実と異なる説明がなかったかをお知らせします。詳しく測る詳細診断(¥9,800)では、29の質問で日本語と英語の両方を測ります。